妊娠で体重が増えることはごく自然なことですが、あまりにも大きく体重が増えることには、母体や胎児にさまざまなリスクが伴います。
ですから、体重を適正に増やすことができるように、自己管理をすることが必要でしょう。
そこでここでは、妊婦さんが増えすぎてしまった体重を安全に落とすことができるダイエット方法や注意点をご紹介します。
この記事でわかること
そもそも妊娠中にダイエットは必要?
妊娠すると、血液循環量が多くなって体に水分をためやすくなり、羊水や胎盤、赤ちゃんの重さなどで、最低でも約5キロは増加するといわれています。
さらに、胎児の成長のために脂肪が付きやすくなり、バストにも脂肪や水分が蓄えられるので、いつもと同じように食べているのに、どんどん体重が増えて困ってしまうという人も。
これは、出産やその直後に訪れる昼夜問わずの育児に対してのエネルギーの準備であり、赤ちゃんを健やかに育てるための体の自然な反応です。
しかし、体重が増えすぎることは、母体や胎児への健康面でのリスクを高める原因や子供の肥満の原因ともなるので、ダイエットが必要な場合もあります。
妊娠中に体重が増えすぎるとどうなる?
・妊娠性の糖尿病
・ひざの痛みや腰痛
・微弱陣痛
・無痛分娩や帝王切開で麻酔が効きにくくなる
・巨大児
・難産になりやすい
・子供の肥満にも繋がる
体重が増えすぎると、妊娠中に妊娠高血圧症候群や糖尿病になる病気になる可能性が高まり、出産の時にも苦労しやすくなります。
特に、出産のときに難産になると、お母さんだけではなく赤ちゃんにも大きな負担がかかることに。
最近はこれらのリスクを考えて、医師や助産師から体重管理について細かなアドバイスがあることがほとんどです。
医師や助産師などの専門家から体重増加について指摘を受けたのなら、今すぐダイエットを始める必要があるでしょう。
妊娠前の肥満によって子供の肥満リスクも上がることが発覚
2019年欧州肥満学会(European Congress on Obesity:ECO)で発表されたのが“妊娠前の母親の肥満が子供の肥満に関わる”ということ。
この研究ではあくまで「妊娠前の女性」がターゲットですが、母親が妊娠前に肥満だった場合、子供が肥満になる可能性が3倍以上になることが分かったのです。
体重管理は子供に大きく影響するということが分かりましたね。
妊婦さんの体格によって適正な体重増加がある
まずは自分のBMIを知ろう
自分の体型はBMI指数によって知ることができます。
さっそく、自分がどの体型に当てはまるのかを確認してみましょう。
体型別に見る妊婦さんの体重増加の目安
人それぞれに異なる体型によって、体重増加が許される範囲にも違いがあります。
やせ体型、標準体型、肥満体型のいずれも、増えていい体重の上限を超えないように気を付けましょう。
特に肥満体型の人は、数キロに抑えることがベター。
増えすぎてしまった体重は、安全なダイエットを実践して落とし、安産に向けて備えましょう。
妊娠中のダイエットの注意点
ダイエットを始める前には医師に相談する
妊娠中の体は、お母さん一人だけのものではなく、赤ちゃんのことも考えなくてはいけません。
ですから、ダイエットを始める前には必ずかかりつけの医師に相談し、ダイエットをしても大丈夫かどうかを判断してもらいましょう。
その人の体調や体質によっては、たとえ体重が増えすぎていても、ダイエットをしない方がいいケースもあります。
妊娠中のダイエットは安定期から
前述の適正体重に当てはまらず、医師からも体重を減らした方がいいといわれているのなら、ダイエットをした方がいいでしょう。
妊娠中のダイエットは、安定期に入ってから行うことが推奨されています。
妊娠15週までの初期では、体も心も不安定です。
赤ちゃんを無事に育てるために母体が急激に変化する時期なので、まずは母体を安定させることが優先。
妊娠初期は体重増加も緩やかなので、さほどダイエットのことを気にしなくても大丈夫です。
スポーツ施設やジムなどでは、参加対象者を「妊娠16週以降から」としているところがほとんどです。
食事量を極端に減らしたり抜いたりしない
手っ取り早く体重を減らすためには、食事を摂らないことが最も効果的で、数日もすれば目に見えて変化があらわれるでしょう。
しかしこの方法は全くおすすめしません。
妊娠中は、お母さん、赤ちゃん共にたくさんの栄養が必要です。
絶食することで栄養源が断絶されてしまうと、お母さんの体調や赤ちゃんの発育に悪影響を与える恐れがあり、安全に妊娠を継続できなくなってしまうことがあります。
食事を減らすのもNG。
必要な食事や栄養は取りつつダイエットをするというのが、妊娠中のダイエットの鉄則です。
体調の変化を感じたらすぐに中断
最も大切な注意点は、ダイエット中に調子が悪くなった時はすぐに中断するということです。
妊娠中は、いくら安定期と言われていても体調が変化しやすい時期。
少し前までは元気に過ごしていたとしても、何かのきっかけで数分後に急変しているということもあります。
少しでも体に違和感を感じたのであれば、ダイエットはすぐに中断し、医師や専門家に診てもらいましょう。
安全にできる妊婦のためのダイエット方法~運動編~
普段から「動く」ことを心がける
妊娠中は体温が高く、少し動くだけで汗をかいたり、疲れを感じやすくなったりします。
さらに、お腹の大きさで動きにくいこともあり、ただ立ち上がる時ですら「よっこいしょ」と気合を入れなければならないほど重く、ほんの些細な動作も大変に感じやすくなります。
ただでさえ動くことが億劫な妊娠中。
しかし、妊娠中は代謝が盛んなので、少しの動きでも痩せやすく、こまめに動くことで急激な体重増加を抑えることができます。
たとえば、階段の上り下りや近所への散歩、歩いて買い物に行くようにするなど、普段からとにかく体を動かす動作を心がけましょう。
マタニティ用プログラムで運動をする
「マタニティフィットネス」や「マタニティスイミング」、「マタニティビクス」などは、妊娠中の女性が安全に運動することができるように医師や専門家が考えた特別なプログラムです。
適度に体を動かしながら柔軟性や筋力を高め、代謝を挙げることでダイエットが叶います。
スポーツ施設やジムに出かけることで、妊娠中の気持ちを晴らす気分転換にもなりますよ。
マタニティヨガ・マタニティピラティス
マタニティヨガやマタニティピラティスは、妊婦さんのための安全にできるトレーニングです。
特に妊娠中は、むくみや冷えに悩みやすい時期なので、マタニティヨガやマタニティピラティスで得られる血行促進効果が健康維持に役に立ちます。
さて、マタニティヨガとマタニティピラティスは同じもののようですが、マタニティヨガは「精神世界」にフォーカスしていることに対し、マタニティピラティスは「筋肉の動き」を重視しており、その本質には大きな違いがあります。
【マタニティヨガ】
ヨガには心の興奮を鎮めてリラックスさせてくれるヒーリング効果があります。
妊娠中は、妊娠で変わる体型やこれから母親になることに対する不安などでホルモンバランスが乱れやすくなりがち。
マタニティヨガをすることで、イライラして尖った気持ちを抑えることができ、不安な気持ちを取り除いてくれるでしょう。
マタニティヨガの呼吸法は、心を解放してくれるだけでなく、出産のときの陣痛をうまく逃すためにも役立ちます。
マタニティヨガの深い呼吸法を知っていれば、出産のときの強い痛みや体と向き合って自身のリズムを整えることができ、気持ちを落ち着かせてくれるでしょう。
【マタニティピラティス】
マタニティピラティスは、出産に備えて体を柔軟にし、筋力をつけることが主な目的です。
ストレッチや筋トレをしながら、体力づくりという意味合いも強いことが特徴。
妊娠中に増えた体重は、筋肉や骨にとって大きな負担になり、腰痛や肩こり、全身の倦怠感などが起こりやすくなります。
お産でも全身の筋肉を使い、陣痛を乗り越える体力も必要なので、妊娠中からの筋力アップが安産につながります。
安全にできる妊婦のためのダイエット方法~食事編~
3食バランスよく食べる
妊娠中は「赤ちゃんの分まで食べたほうがいい」などとはよくありますが、最近は専門家の見解も世間の見方も少し変わってきているようです。
妊婦さんの食事は「量」ではなく「質」を重視することが大切。
量は腹8分目でOKなので、野菜や肉などのたんぱく質、炭水化物などをバランスよく用意し、不足しがちなビタミンや妊娠中に特に必要になる鉄分などを多めに摂るように心がけましょう。
酵素サプリや酵素ドリンクでむくみを改善
酵素は食べたものの消化を助けたり、体への栄養の吸収を高めたり、さらには不要なものをデトックスするために役立つ成分です。
酵素入りのサプリメントやドリンクは、体の代謝を高めるのでデトックスを促し、余分な脂肪をつきにくくしてくれる効果があります。
最近では妊婦さんにも安全に飲むことができる酵素サプリやドリンクが多く発売されており、「妊娠中でも安心して飲める」などパッケージに記載があるものなら、普段の生活に取り入れてみるといいでしょう。
便秘を防いでお通じをよくする効果もあり、健康的なダイエットに繋がります。
決まった時間に食事を摂る
体のリズムを整えるためにも、毎日決まった時間に食事をすることがいいでしょう。
自律神経が整うことで代謝がスムーズになり、むくみや余計な体重増加を防ぐ効果があります。
まとめ~妊娠中もダイエットはできる!正しい方法で健康的に~
妊娠中のダイエットは、体重増加があまりにも著しい場合にはした方がいいでしょう。
ただし、妊娠中の体は一生のうちでもっともデリケートなので、ダイエットを始める前には必ず医師に相談してくださいね。
いくら体重を減らしたいからといって、食事を抜いたり、激しすぎる運動をしたりなど、無茶なことをしてはいけません。
ご紹介した注意点を守りながら、食事は腹8分目を目指し、安全性の高いマタニティヨガなどの運動をしたり、こまめに体を動かすようにして普段から筋力や体力をつけておきましょう。
適正な体重増加を守ることは、安全なお産にもつながりますよ。
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