いつもよりも多くの栄養を摂取したい妊娠期。
栄養バランスよく食事をすることはもちろん、ビタミンやミネラルの栄養素なども積極的に摂って母子ともに健康を心がけることが推奨されています。
しかし、いくら体にいいからとはいえ何でも「やりすぎ」はご法度。
特にビタミンA(レチノール)は、過剰に摂取することで、お母さんの体調やおなかの赤ちゃんの奇形などのリスクが高まる可能性があるといわれています。
そこでここでは、レチノールの摂りすぎが引き起こす危険性と、妊婦が上手にビタミンを摂取するための方法についてご紹介しましょう。
この記事でわかること
妊婦に必要な「ビタミンA」とは
ビタミンAは妊婦と赤ちゃんに欠かせない栄養素
ビタミンAは、皮膚や粘膜を正常に保ったり、薄暗いところでものを見えやすくしたりと、私たちの健康的な生活に欠かせない成分です。
また、細胞の成長にかかわるため、妊娠中のお母さんや胎児にとって必要不可欠な栄養素。
体の中で作り出すことができないため、普段の食事やサプリメントからしか体内に摂り入れることができません。
ビタミンAが欠乏するとどうなる?
ビタミンAは、摂取量があまりにも足りないと、妊婦や胎児に悪い影響を与えます。
妊婦には、肌の乾燥や免疫力の低下、貧血のリスクが上昇。
赤ちゃんには、生まれた後の成長や発達遅延の可能性、眼球の乾燥感や慢性肺疾患、消化器疾患などが起こりやすくなります。
しかし、現代の日本の食生活では、ビタミンAが極端に欠乏するケースはほとんどないので、バランスのいい食事を心がけていれば、推奨の摂取量はクリア可能。
ですから、ビタミンAばかりをピンポイントにたくさん摂取しなくても大丈夫です。
むしろ、過剰摂取がかえって大きなリスクを引き起こす原因になるので、気を付けながら摂取したい栄養素です。
妊婦のビタミンAの摂りすぎはリスクになる
ビタミンには脂溶性ビタミンと水溶性ビタミンの2種類があります。
水に溶けやすい水溶性ビタミンは、体に吸収しきれなかったものは尿などで体外に排出されますが、脂溶性ビタミンは脂肪や肝臓など、体の中にため込まれていくため、摂りすぎると体へ悪い影響をもたらすことも。
ビタミンAは脂溶性のビタミンです。
もっと詳しく説明すると、ビタミンAには動物性の食品に含まれるレチノールと、植物性の食品に含まれるB(ベータ)カロテンがありますが、レチノールが体に蓄積するのがよくないのです。
ビタミンAの1つであるレチノールの過剰摂取は、体の不調の原因になり、お母さんにもおなかの赤ちゃんにもよくない影響を与える可能性があります。
ビタミンAの過剰摂取が引き起こす母子へのリスクとは?
頭痛
めまい
吐き気
食欲不振
脱毛
関節などの痛み
肝障害
先天異常
奇形など
たった1日や2日、ビタミンAの摂取上限量をほんの少しオーバーしたくらいではこのような症状があらわれる可能性は低いですが、慢性的に大量に摂り続けることで、妊婦にも胎児にも双方によくない影響があらわれます。
胎児への影響には奇形が報告されており、耳の形態異常が認められたケースも。
妊婦自身が防ぐことのできるリスクなので、毎日口にするものにレチノールを多く含むものがないかどうかをチェックし、1日の摂取量目安を意識するようにしましょう。
ビタミンAの1日の摂取量目安はどのくらい?
では、ビタミンA(レチノール)の1日の摂取量目安とは、具体的にどのくらいなのでしょうか。
厚生労働省のデータを見てみましょう。
18歳~29歳の妊婦:妊娠初期~中期で650μgRAE、妊娠後期で730μgRAE
30歳~49歳の妊婦:妊娠初期~中期で700μgRAE、妊娠後期で780μgRAE
<過剰摂取の目安>
1日で2,700μgRAEが上限
※引用元:厚生労働省サイト
厚生労働省のデータによると、1日の摂取量目安は妊婦の年齢によって違いがあります。
妊娠初期と中期は非妊娠時と同じ、妊娠後期にはいつもより少し多く摂取することを心がける程度でOKです。
特に妊娠初期には過剰摂取に注意を
胎児の体のさまざまな部分が形成される妊娠初期から中期にかけては、レチノールの過剰摂取に注意した方がいいでしょう。
最近は、サプリメントなどで簡単にビタミンを補給することができます。
妊婦には、妊娠していないときよりも十分に栄養を取ることが推奨されていますが、体に良かれと思って摂取しているサプリメントが、逆に母体や胎児に負担になることもあるということを覚えておきましょう。
ビタミンA(レチノール)が多く含まれる食品とは
ビタミンA(レチノール)が多く含まれる代表的な食品はこちら。
・うなぎ
・卵黄
・バター
・チーズ
妊娠すると鉄分が不足しがちになるので、レバーで鉄分補給をする人が多くいますが、実はこれは危険。
特に鶏レバーには14,000μg、豚レバーには13,000μgなど、レバー類にはレチノールがたくさん含まれているので、すぐに摂取量目安の上限に達してしまいます。
鉄分はほかのものからも補給できるので、レバーにばかりこだわらず、ほかの食材とも組み合わせてバランスよく栄養を摂るようにしましょう。
妊婦がビタミンAを摂るならΒカロテンを
ビタミンAを効率よく摂取するならΒカロテンがおすすめです。
Βカロテンは、摂りすぎても過剰摂取になりづらく、摂りすぎた時は排出されます。
Βカロテンが豊富なのは、ほうれんそうや人参、モロヘイヤなどの緑黄色野菜。
ビタミンA不足が心配なのであれば、緑黄色野菜を多めに食べたり、野菜100%ジュースを飲んだりなどで摂取するといいでしょう。
まとめ~妊娠中のビタミンAの過剰摂取に気をつけよう~
ビタミンAの過剰摂取によるさまざまなリスクは、妊婦自身が意識的に防ぐことができます。
普段の食事の栄養バランスに気を付け、ビタミンAはΒカロテンから摂取するようにすることで、母子ともに健康的に過ごすことができるでしょう。
ぜひビタミンAの1日の摂取量目安を参考に、素敵なマタニティライフを過ごしてくださいね。
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