美白有効成分にもさまざまな種類がありますが、高い美白効果が期待できるという注目の「コウジ酸」について詳しく紹介します。
最近はコウジ酸配合の美白化粧品も数多く販売されているので、比較的馴染みのある成分です。
コウジ酸は私たちの肌を美白に導くためにどう働くのか、コウジ酸の効果的なとりいれ方などについて紹介していきます。
コウジ酸とは何か
コウジ酸は1907年に発見された成分です。
コウジ酸の「コウジ」とは日本酒や、味噌、醤油などの醸造に使う「麹」のこと。
酒造りを行うためにコウジを扱う杜氏の方の手が、白くつややかであるのは、麹が発酵する過程で生み出す発酵代謝物質「コウジ酸」の作用によるものとされています。
コウジ酸にはシミの元となるメラニンを作る酵素「チロシナーゼ」の活性化を抑制する作用があり、シミだけでなく、黄ぐすみ、肝斑やニキビ跡、さらには色素沈着にもその効果が認められるとして、1988年に厚生労働省により医薬部外品の美白の有効成分として認可されました。
ほかにも美白作用のある成分としては、ハイドロキノンが有名です。
ハイドロキノンはとても効果の高い成分ですが、肌が弱い方には刺激が強いというデメリットも持ち合わせています。
ハイドロキノンが処方できない方に対しては、肌に優しいコウジ酸の配合されたクリームを皮膚科で処方することもあるのです。
コウジ酸で美白になるメカニズム
どうしてコウジ酸を塗ると美白になるのでしょうか?
まずシミができるメカニズムとしては、以下の三段階の順番を経ることになります。
(1)紫外線のダメージによる炎症やホルモンのバランスが崩れる
(2)活性酸素が過剰に作られる
(3)肌にメラニンが蓄積することで、色素の沈着が定着してシミとなる
コウジ酸はこの3つの要因それぞれに働きかけます。
(1)炎症を抑える
(2)抗酸化作用があり、活性酸素の発生を食い止める
(3)シミのもとメラニンをつくる酵素「チロシナーゼ」の働きを抑える
さらに(2)については抗酸化作用に加え、抗糖化作用もあるため、糖化による「黄ぐすみ」や「たるみ」の元であるAGEsの生成も抑制します。
できてしまったシミだけでなく、これからできるシミにもアプローチし、さらにくすみの原因の糖化を防ぐことで、高い美白力を発揮しているのです。
コウジ酸はこうした作用があるため、美白化粧品だけでなく、エイジングケア商品にも配合されています。
そんなコウジ酸ですが、一時期その副作用が心配され使用が中止になったことも。
コウジ酸を含む餌を食べさせたマウスやラットに肝がんが発生し、発がん性の疑いがもたれたのです。
しかしその後の追加実験で、2005年に経口摂取ではなく、皮膚への塗布について副作用がないことが確認され、リスクの低い成分としてふたたび重用されるようになりました。
コウジ酸の効果的なとりいれ方
コウジ酸はクリームに配合されていることが多いのですが、毎朝・毎晩その化粧品を使うことはちょっと待ってほしいところです。
というのも、メラニンの発生を抑える作用が、日中の紫外線ダメージを受けやすい状態にさせてしまうから。
もともとメラニンがなぜ作られるのかというと、肌を紫外線ダメージから守るため。
メラニンの生成を抑えても、別の肌トラブルが出てしまっては本末転倒ですよね。
そのため、コウジ酸配合の美白化粧品を朝使うときは、紫外線対策を万全に。
もしくは夜のみの使用がおすすめです。
また、より確実にコウジ酸を肌の奥に浸透させたい場合は、サリチル酸を使うピーリングを一緒に行うのもいいでしょう。
ピーリングで古い角質を取り去ることで、コウジ酸がその下の肌に深く浸透し、根深いシミに作用しやすくなります。
もちろん肌の状態にもよりますが、よりスピーディな効果を求める場合は検討してみてください。
コウジ酸配合でどのような化粧品を使うかですが、あなたが、もしかなり深刻に肌の状態について悩んでいるのであれば、皮膚科で診断を受けて処方してもらうというのも一つの手。
というのも一般的に市販されている化粧品に比べると、皮膚科で処方されるコウジ酸外用薬はコウジ酸の濃度が段違いに多いからです。(だからこそ医師の判断が必要なのですが……)
その場合は、用法・用量については医師の指示に従って適切に使用してくださいね。
コウジ酸は動物実験により、肝がんを引き起こす可能性が指摘され、2003年~2005年にかけて、医薬部外品としての美白化粧品への配合が禁止されている期間がありましたが、追加実験により現在では安全性については確認済みとなっています。
まとめ~注目の「コウジ酸」で美白を目指そう~
美白ケアには時間と根気が必要です。
できてしまったものを取り去るのはもちろん、予防にも役立つコウジ酸の配合された美白化粧品をケアに上手に取り入れることで、今後のシミ・くすみ対策に役立てていきたいですね。
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