基礎体温を測ると女性ホルモンが正常に分泌されているかどうかを知ることができます。
女性ホルモンは排卵・生理・妊娠・出産など、女性の体に大きく関わってくるホルモン。
普段から基礎体温を記録していれば、自分の体のリズムが掴めるうえに、いち早く体の変化に気づくことができます。
基礎体温と女性ホルモンの関係、基礎体温の正しい測り方や記録の付け方、さらに基礎体温計の選び方まで、「基礎体温のすべて」が分かるようにまとめました。
この記事でわかること
基礎体温とは?体温グラフで分かること
まずは、基礎体温からどんなことが分かるのか、また基礎体温と体温の違いについて、くわしくご説明します。
どうして基礎体温を測った方がいいのか
基礎体温を測ると、たくさんのメリットがあります。
まず、多くの女性にとって非常に便利なのが、生理日予測ができること。
いつごろ生理がくるのかが前もってわかれば、さまざまな場面で助かりますね。
また、毎日欠かさず基礎体温を測ることで、排卵日の予測がつくようになります。
これは、妊娠したい人や避妊したい人によっては非常に有益な情報でしょう。
さらに、ダイエットの効果が出やすい時期や、肌の調子がよくなる時期まで予想できるようになります。
このように、基礎体温を測ることは、女性の美容健康にかかわる多くの場面で役に立つのです。
基礎体温をつけると分かること
基礎体温をつけはじめると、体温の高い時期と低い時期があることがわかります。
これを、高温期・低温期といい、このサイクルによって女性ホルモン分泌の周期を知ることができます。
生理がはじまると体温が下がって低温期が約2週間ほどつづき、その後、排卵があると体温が上昇して次の生理がくるまで高温期がつづきます。
高温期と低温期の差は0.3~0.5℃程度しかないので、自分では体温変化に気づかない人がほとんどでしょう。
でも、毎日基礎体温をつけることで体の状態をあるていど見極めることが可能になり、生理がくる日や排卵日などの女性にとって大切な情報が得られるようになるのです。
基礎体温と普通の体温の違い
普段、熱っぽいな、風邪を引いたかな、と思ったときに体温計で熱を測ることがあると思いますが、その際は「気になったときに測る」という人がほとんどだと思います。
でも、基礎体温はそのような測り方では正しい計測ができません。
基礎体温とは「安静状態の体温」のことをいいます。
安静状態の体温とは、臓器の活動や呼吸運動といった生命維持の最低限の活動しかしていない状態の体温を指します。
この安静時の体温を日々記録することで、体の微細な変化に気づきやすくなるわけですね。
ただ、体温というのは少し動いただけですぐに上昇してしまうため、安静状態の体温を測るには、朝目を覚ましたらそのまま動かずに測らなくてはなりません。
この点が、基礎体温と普通の体温の大きな違いです。
基礎体温計の種類&選び方
婦人用体温計・基礎体温計の特徴
基礎体温を測るには、脇の下で測る普通の体温計ではなく、いわゆる婦人用体温計と呼ばれる専用の基礎体温計を使わなければなりません。
普通の体温計には目盛りが小数点第1位までしかありませんが、基礎体温計には小数点第2位まで目盛りがあるうえに、口で測る体温計なので、より正確な体温を測ることができるのです。
まだ持っていないという人は、普通の体温計で代用するのではなく、必ず新しく基礎体温計を購入しましょう。
基礎体温計のおおまかな種類
基礎体温計には「予測式」と「実測式」の2つの種類があります。
予測式は20秒~60秒という短時間で測れるのが特徴。
ただ、検知した体温から実際の体温を予測して数値を出すので、あくまで「予測値」ということを頭に入れておく必要があります。
一方、実測式は、測るのに5分以上かかるものの、実際の体温との誤差が少なくほぼ正確な数値を表示してくれます。
しかし、じっと待つ5分間は思いのほか長く感じるので、人によって向き不向きがあるといえるでしょう。
値段は多少高くなりますが、測った体温を自動で記録してグラフにしてくれる「多機能タイプ」もあります。
基礎体温計の選び方
「予測式」も「実測式」も、それぞれメリット・デメリットがあります。
せっかちな人や、朝ゆっくり体温を測る時間のない人には、素早く測れる予測式がぴったり。
朝の5分は貴重なので、もしそれほど正確な数値にこだわりがなければ、時短で測れる予測式をおすすめします。
逆に、多少時間はかかってもより正確な基礎体温を知りたい人には、実測式が最適でしょう。
口中で5分以上測る必要がありますが、予測式に比べて数値の信頼度が高い点がメリットです。
基礎体温の正しい測り方
基礎体温計の使い方は普通の体温計とは異なり、基本的に口内での測定となります。
体温計の先を、舌下の付け根部分に当てて測りましょう。
また、基礎体温はいつ測るかがとても重要です。
基礎体温は安静状態の体温だと上で述べたように、測るタイミングは「朝起きてすぐ」が鉄則。
布団に寝た状態で体温計に手を伸ばせるように、前の夜からベッドの近くに体温計を用意しておくとよいでしょう。
また、基礎体温は毎日同じ時刻に測るのが理想です。
ただ、ときには同じ時間に測れない日もあるでしょう。
その場合も、起きてすぐに測るというルールを守って測定することが大事です。
正しい比較をするには、できればバラバラの時間ではなく同時刻に測ることが望ましいですが、無理な場合でも起きてすぐの安静時に測ることで測定値が大幅にズレることを回避できます。
基礎体温を測る手順は以下のとおりです。
2.測定中は楽な姿勢をとり、なるべく体を動かさないようにじっとしている
3.測定が終わったら、測定値をチェックして忘れないうちに記録する
基礎体温グラフの付け方・見方
基礎体温の測定値は、グラフにすると変化がひと目でわかるので便利です。
グラフ化することで、高温期・低温期の平均温度や、自分の生理周期が視覚的にわかるようになります。
基礎体温表を手に入れるには、市販されているものを購入してもよいですが、Webサイトから無料でダウンロードしたり、無料アプリを使ったりする方法もあるので、自分に合った方法を選んでください。
基礎体温グラフの付け方
基礎体温グラフは、生理の初日をグラフの1日目として作成します。
測定値の付け方は、グラフの該当箇所にその日の体温をマークするだけ。
その後、マークとマークを線でつないで折れ線グラフにしておきましょう。
また、以下のようなことがあったら基礎体温と一緒にその内容をメモしておくとあとで役に立つことがあります。
・月経量
・不正出血のあった日
・おりものの異常
・腹痛、頭痛、風邪など、体調面で気になることがあった日
・服薬をした日
・飲酒をした日
基礎体温グラフから読み取れること
基礎体温グラフは、生理がはじまって低温期が約14日間つづき、排卵とともに高温期に入って約14日間つづくというのが通常のパターンです。
このように低温期と高温期がはっきり分かれていれば、女性ホルモンが正常に分泌され、排卵も問題なくおこなわれていることがわかります。
一方、グラフの線がはっきり2相に分かれておらず、どちらかが長過ぎたり短過ぎたり、あるいは体温上昇の幅が狭かったりする場合は、ホルモンバランスに狂いが生じている可能性があるので要注意。
もしグラフの線が平らに近いようだと、排卵がおこなれていないことも考えられます。
基礎体温がガタガタで低温期と高温期の境がない、あるいは、線の上下がほとんどなく平らな状態が続くというような人は、くれぐれも慎重に経過を観察しましょう。
もしこのような状況が長く続くようなら、一度、基礎体温グラフを持って婦人科を受診することをおすすめします。
また、更年期が近づくと、卵巣機能が低下して低温期と高温期の周期が短くなり、生理が頻発する傾向にあります。
年齢的に該当する人は、これらの影響も加味して判断していきましょう。
基礎体温と生理
基礎体温の計測で低温期と高温期の時期がわかるようになると、生理日の予測がつくようになります。
排卵が起きてから生理前までの高温期はだいたい14日間と決まっているので、たとえばその月の5日に排卵があり高温期に入ると、生理はそこから14日後の19日前後ということが予想できるわけです。
PMSに悩んでいる人の場合、体温上昇が見られたらPMS期間のはじまりと捉え、できるだけリラックスして過ごせるよう対策をとりましょう。
食事面でも、塩分や糖質の多い食事を避けたり、アルコールを控えたりして、PMSの症状悪化を防ぐために早めに備えておくことが肝心です。
また、基礎体温が下がるタイミングで生理がはじまり、人によっては生理痛や倦怠感といった症状が出てきます。
生理痛は、剥がれ落ちた子宮内膜が体外へ排出されるときの子宮収縮が原因の痛みですが、体温が下がって体が冷えやすくなることも原因のひとつになるので、なるべく体を冷やさないように生活面や食事面を工夫しましょう。
生理不順の場合
一方、このサイクルが当てはまらない「生理不順」の場合はどうなるのでしょうか。
生理不順には、生理が頻繁にくる、生理の間隔が長く空く、生理期間が長過ぎる、生理がすぐに終わってしまう、などといった症状があります。
これらの症状が見られる場合、以下のようなことが原因として考えられます。
・卵巣の働きが低下している
・ホルモンの分泌量が少ない
こうした状況では基礎体温グラフもキレイな2相にはならず、何かしらの異常が見られるはずです。
生理不順が続き、基礎体温表にも不審な点が見られたら、一度婦人科で原因を調べてもらいましょう。
とくに、月経量が増える「過多月経」では、子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮内膜症といった病気が隠れている危険もあるので、こうした生理の異常サインを見逃さず、早めに病院を受診するようにしてください。
基礎体温と妊活&妊娠
妊娠を望むなら、妊娠しやすい時期を把握できる基礎体温の計測は不可欠です。
基礎体温と、妊活&妊娠の関係をくわしく見ていきましょう。
基礎体温と妊活
まずチェックしたいのは、基礎体温グラフに高温期と低温期の2相があるかどうかです。
この高温期と低温期の境に排卵があるので、もしグラフの線が2相に分かれていない場合は排卵がおこなわれていない可能性が考えられます。
次に重要なのが、妊娠しやすい日を知ること。
基礎体温グラフをつけていると排卵日の予測がつくようになるので、タイミングをはかることが可能になります。
注意したいのは、高温期の長さです。
通常であれば高温期は14日程度つづきますが、もし高温期が9日よりも少ないときはホルモンの働きが弱くなっている可能性があるため、一度婦人科を受診して体の状態を診てもらったほうがよいでしょう。
妊娠を希望している人にとって、ホルモン分泌の状況や排卵日などの情報は欠かせないものです。
毎日、基礎体温をつけるのは手間がかかりますが、自分の体の状態を知るためにもぜひ取り組んでみてください。
基礎体温と妊娠
妊娠をすると、生理が止まって高温期が続きます。
もし次の生理がはじまらず高温期が2週間以上続いている場合は妊娠している可能性があるため、市販の妊娠検査薬でチェックしてみるのもよいでしょう。
ただ、妊娠検査薬は100%確実とはいえず、妊娠しているのに陰性反応が出たり、逆に妊娠していないのに陽性反応が出たりすることもあります。
そのため、検査薬の結果がどうであれ、高温期が続き生理がこない場合は産婦人科を受診するようにし、それまでは念のためアルコールの摂取や薬の服用は控えるようにしましょう。
また、もしX線検査を受けるようなことがあれば、必ず妊娠の可能性があることを伝えてください。
基礎体温をダイエットに役立てる方法
日ごろから基礎体温を測っておくと、痩せやすい時期がわかるようになります。
やみくもにダイエットをするよりも効率的に痩せられますので、ぜひ基礎体温を利用したダイエット法のポイントを押さえておきましょう。
基礎体温とダイエットの関係性
女性なら誰しも、「生理の開始とともに体重が増えた」という経験があると思います。
体重増加は平均で0.5kg~1kgといわれ、多い人では2kg以上も増えてしまう人もいるのだとか。
実はこれ、ホルモンの働きによって体が水分をため込もうとしているせいなのです。
さらに、生理中はいつも以上に食欲が増すのでどうしても食べ過ぎてしまう……という人もいるでしょう。
これもホルモンによる影響だと考えられています。
このような時期にダイエットに励んでも、残念ながら思うような結果は出にくいでしょう。
女性が効率よく痩せるには、ホルモンの働きを味方につけることがとても大切。
ダイエットを成功させるためにも、ぜひ基礎体温をつけてホルモンバランスのリズムを掴んでおきましょう。
基礎体温からみたダイエットを成功させるコツ
女性が痩せやすい時期は、生理の終わりから排卵日までの約1週間です。
この期間は、卵胞ホルモン「エストロゲン」の分泌が増え、むくみがとれて体もスッキリ。
ダイエットの効果が非常に出やすくなるありがたい時期なのです。
痩せるためには、このチャンスを逃さずしっかりダイエットに取り組みたいものです。
いつもよりも活動量を増やし、積極的にダイエットに励んでいきましょう。
脂肪を直接燃やすには、ウォーキングやエアロバイクなどの有酸素運動が効果的です。
また、美しいボディラインをつくるにはスクワットや腕立て伏せなどの筋力トレーニングが欠かせません。
両方同時に取り組めば、相乗効果でさらに痩せやすくなります。
1日1.5リットル以上の水を摂取して代謝を上げ、しっかり体を動かして余分な水分や脂肪を体から追い出していきましょう。
基礎体温を美容に役立てる方法
女性の体はホルモンバランスの動きに左右されることをお話しましたが、ホルモンは美容面にも多くの影響をもたらします。
基礎体温をつけることで肌のリズムを把握し、美容に役立てていきましょう。
基礎体温と肌状態の関係性
肌の状態は、女性ホルモンの分泌状況と深いかかわりがあります。
生理が終わって次の排卵が起こるまでは「美人ホルモン」とも呼ばれる「エストロゲン(卵胞ホルモン)」の分泌量が増え、肌の調子はグンとアップ!
しかし、排卵後から「プロゲステロン(黄体ホルモン)」の量が増えてくるにつれ、肌には吹き出物や肌荒れといったトラブルが生じやすくなってきます。
基礎体温によってこれらの肌サイクルを知っておくと、それぞれの時期にマッチしたケアができ、トラブルの軽減にも役立ちます。
基礎体温からみたスキンケアのコツ
トラブルが起こりやすいのは、「生理中」と生理1週間前の「黄体期」。
生理中は肌がとても敏感になり、肌荒れやかゆみなどが出やすくなります。
この時期はシンプルなスキンケアを心がけ、できるだけ肌に刺激を与えないようにしましょう。
一方、黄体期は皮脂の分泌が増えるので、テカリやべたつきを感じやすく、吹き出物やニキビが発生することも。
逆に、肌の調子がよくなるのが、生理が終わったあとの「卵胞期」です。
うるおいやハリがアップしてメイクのノリもよくなり、肌はまさに絶好調!
そして、卵胞期が過ぎると排卵が起こり、ふたたび黄体期に近づきます。
この時期は肌の調子が少しずつ落ちてくるので、パックなどのスペシャルケアをして外側から栄養を補ってあげましょう。
基礎体温を上げる&下げる方法
基礎体温は、さまざまな要因によって高低差が出にくくなってしまうことがあります。
心当たりがないのに基礎体温が高温期に上がらない、低温期に下がらないという状況があると、不安になってしまいますね。
そんなとき、基礎体温を上げたり下げたりする方法はあるのでしょうか?
基礎体温を上げる方法
基礎体温を上げるには、基本的には冷え性の改善方法と同じように、生活習慣や食習慣を見直したうえで、体を温める工夫をするのが効果的です。
まずは、睡眠不足にならないように早寝早起きをして生活リズムを整え、バランスのよい食事を心がけましょう。
とくに現代人に不足しがちな栄養素が、たんぱく質・ビタミン・ミネラルです。
肉・魚・卵などのたんぱく質は毎食しっかりとり、いろんな種類の野菜や果物を積極的に食べてビタミンやミネラルをバランスよく補充しましょう。
体を温めるには、入浴時にちゃんと湯船につかることや、冷えやすいおなかや足は腹巻や靴下で保温するのがおすすめです。
また、軽い有酸素運動を習慣にしたり筋力トレーニングで筋肉量を増やしたりすると、代謝がよくなって体温が上がりやすくなります。
基礎体温を下げる方法
低温期になったのに基礎体温が高くて不安を感じている女性も多いようです。
ここでのポイントは、高温期との差がどのくらいあるかという点。
低温期の体温が高くても、高温期との差が0.3~0.5℃あれば問題ないことがほとんどです。
この場合は、体調面に変わったことや気になることがないようなら、それほど心配する必要はありません。
もし、低温期と高温期の差がない場合は、基礎体温を下げるというよりも他の要因がないか探るのが先決です。
低温期の基礎体温が高いままの場合、まず考えられるのは妊娠の可能性です。
生理の有無や体調面の変化など、思い当たることはないか考えてみましょう。
また、基礎体温に高低差がない場合は、何らかの原因により排卵がないことも考えられます。
この状態が続く場合は、婦人科に行き医師の診察を受けましょう。
【まとめ】基礎体温の正しい測り方をマスターして管理しよう
基礎体温を測ることは、女性に多くのメリットをもたらします。
自分の体が今どのような状態にあるかを知れば、調子のいいときを大いに利用したり、体の不調に備えたりすることも可能になります。
毎朝体温を測るのは面倒かもしれませんが、体からのサインを見逃さないためにも、ぜひ基礎体温の計測を習慣にしていきましょう。
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